概要

RUM は、ブラウザアプリケーションのすべてのイベントをキャプチャし、これにより遅いページやコードエラーのトラブルシューティング、またはアプリケーションの使用状況を分析するためにそれらを調査することができます。すべてのキャプチャイベントは RUM エクスプローラーでクエリ、ダッシュボード、アラートを行うことができます。

ブラウザ アプリケーションの規模が大きい場合、複数の Web 開発チームによって構築されている可能性があります。各チームは、エラー、速度低下、または使用状況の分析をトラブルシューティングする際に、重点的に取り組むべき領域を持っています。

このガイドでは、RUM でアプリケーションを定義する方法について説明します。さらに、Web 開発チームが所有する領域の健全性と使用状況の可視化を必要とするような、大規模なアプリケーションにおける一般的なユースケースについても説明します。

RUM アプリケーションの作成

ブラウザアプリケーションを追跡・分析するための最初のステップは、RUM アプリケーションを作成することです。RUM アプリケーションは、顧客が Web サイトとして認識するような体験をレンダリングする、特定のドメインで利用可能なブラウザアプリケーションをマッピングします。

ブラウザアプリケーション内のページの追跡

ブラウザアプリケーションが単一ページのアプリケーションであっても、サーバーサイドレンダリングを使用するアプリケーションであっても、ブラウザ RUM SDK は自動的にルート変更を追跡し、ルート変更ごとにビューイベントを作成します。

  • ビューには、https://www.yourwebsite.com/about のような @view.url で利用可能な URL があります。
  • ビューには、/about のような @view.url_path で利用可能なパスがあります。

例えば、ルート変更で自動的にページビューをキャプチャしても十分な視認性が得られない場合、ページに別の名前を指定することができます。これを行うには、手動でビューを追跡し、「会社概要」のような @view.name で利用できる名前をそれぞれ割り当てます。

ページのレンダリングライフサイクルにおけるタイミングの追跡

Browser SDK は、業界標準のタイミング、Core Web Vitals、ページの読み込み時間などを自動的に追跡します。

さらに、イメージやコンポーネントなど、ページ上の特定のアイテムのレンダリングにかかる時間を追跡することができます。コードでキャプチャして、その値をビューイベントに貼り付けることで、さらに多くのタイミングを追跡できます。この方法の詳細については、独自のパフォーマンスタイミングを追加するのドキュメントを参照してください。

一度キャプチャしたタイミングは、自動収集されたタイミングと同様に利用することができます。タイミングを利用して、以下のようなことが可能です。

  • RUM エクスプローラーでコードのバージョン間の時間分布を分析する
  • ビューウォーターフォールで潜在的な高い値をトラブルシューティングする

Web ページ内のコンポーネントを追跡する

ブラウザアプリケーションで、1 つのアプリケーション内の複数のページや複数のアプリケーションにまたがって存在する UI コンポーネントを使用している場合、カスタムインストルメンテーションを使用して、ページ間のこれらのコンポーネントの使用量とレンダリング時間を追跡することができます。

カスタムアクションを生成して、ページ間のコンポーネントのライフサイクルを追跡することができます。例えば、/myorders ページと /search ページの両方が、以下の検索ボックスコンポーネントを使用しているとします。

ページ間のコンポーネントのライフサイクルを追跡するためのカスタムアクションを生成する

カスタムアクションを毎回送信することで、検索コンポーネントのライフサイクルにおける以下のマイルストーンを追跡することができます。

  • search_component_render: 検索コンポーネントは、レンダリングする
  • search_component_input: 検索コンポーネントは、ユーザーのキーボードから入力を取得する
  • search_component_suggestions_display: 検索コンポーネントは、候補を表示する

そして、このカスタムアクションは、自動的に以下の属性を担います。

  • 使用された RUM のアプリケーション
  • @view: レンダリングされたページ
  • @geo: ジオロケーション情報 (有効な場合)
  • @session: ユーザーのセッション識別子

カスタムインスツルメンテーションを使用すると、カスタムアクションに以下の属性を割り当てることができます。

  • 所属するチーム
  • レンダリングに要した時間
datadogRum.addAction('search_component_render', {
    'team': 'Team A', // 例: 42.12
    'time_to_full_render': 16.5, // 例: ['tomato', 'strawberries']
})

次に RUM エクスプローラーから、以下を分析することができます。

  • あるコンポーネントが最も多く使用されたページ
  • コンポーネントが最も多く使用されるブラウザアプリケーション
  • コンポーネントが完全にレンダリングされるまでの時間の P75 パーセンタイル

チームオーナーシップの追跡

チームが一連のページを所有する

ある Web 開発チームが、以下の例のような一連のページを所有しているとします。

Web 開発者が所有する一連のページの例

RUM アプリケーション内で、以下のようにして、チームが所有するページの各セットにサービスを作成します。

  1. 構成オプション trackViewsManuallytrue に設定することで、手動でのビュー追跡をオンにします。
  2. Web サイトの各ページに、デフォルトの RUM ビュー名をオーバーライドする手順に従って、ビュー名とサービスを割り当てます。
    • /checkout/payment/confirmOrder で利用できるページの "purchase" サービス。
    • /beds/chairs/123/search で利用できるページの "catalog" サービス。
  3. 各サービスのソースマップをアップロードすると、エラー追跡で最小化されていないスタックトレースを表示することができます。

RUM の service 属性を使用して、指定されたチームのスコープのパフォーマンスや採用状況を把握することができます。

  1. RUM アプリケーションの概要ページから、すべてのグラフを service で絞り込み、チームのスコープを全体的に把握することができます。
  2. RUM エクスプローラーで行うすべてのクエリは、service 属性を使用して以下をフィルタリングすることができます。
    • サービス別エラー数
    • サービス別ページビュー
Shopist の Cart ページでユーザー名でグループ分けされたアクションを検索するクエリ

チームが UI コンポーネントを所有する

カスタムアクションでコンポーネントを追跡可能

コンポーネントは、前述のカスタムアクションを使って追跡されます。

  1. カスタムアクションの定義内にチーム属性を追加します。
  2. カスタムアクションの属性として、コンポーネントのライフサイクルにおけるロード時間やその他のタイミングを追跡します。

その他の参考資料

お役に立つドキュメント、リンクや記事: