このガイドでは、SQL Server からカスタムメトリクスを収集する方法を説明します。

カスタムクエリ

SQL Server インテグレーションでより複雑なカスタムメトリクスを収集するには、Agent の構成ディレクトリのルートにある conf.d/sqlserver.d/conf.yaml ファイルの custom_queries オプションを使用します。詳細については、サンプル sqlserver.d/conf.yaml を参照してください。

コンフィギュレーション

custom_queries には以下のオプションがあります:

オプション必須説明
クエリ実行する SQL です。簡単なステートメントにすることも、複数行のスクリプトにすることもできます。結果のすべての行が評価されます。複数行のスクリプトが必要な場合は、パイプ文字 (|) を使用します。
列を表すリストです。左から右へ順に並べられます。

次の 2 つの必須データがあります。
- name: サフィックスとして metric_prefix に付加され、完全な名前を形成します。typetag と指定されている場合、この列は、このクエリによって収集されるすべてのメトリクスにタグとして適用されます。
- type: 送信方法 (gaugecountrate など)。tag と設定し、この列のアイテムの名前と値 (<name>:<row_value>) で行の各メトリクスにタグ付けすることができます。
タグ各メトリクスに適用する静的タグのリスト。
  • 定義済みの columns のうち最低 1 つは、メトリクスタイプ (gaugecountrate など) である必要があります。

  • columns 内の定義済みアイテム数は、クエリで返される列数と同じである必要があります。

  • columns のアイテムが定義される順番は、クエリで返される順番と同じである必要があります。

    custom_queries:
      - query: Select F3, F2, F1 from Table;
        columns:
          - {name: f3_metric_alias, type: gauge}
          - {name: f2_tagkey      , type: tag  }
          - {name: f1_metric_alias, type: count}
        [...]
    

以下に示すのは、testdb データベースの company テーブルです。テーブルには 3 件の従業員レコードが含まれています。

testdb=# SELECT * FROM company;

id| name  | age| address    |salary | entry_date | last_raise_time
-------------------------------------------------------------------
1 | Paul  | 32 | California | 20000 | 1457570000 | 1457570300
2 | Allen | 25 | Texas      | 30000 | 1457570060 | 1457570300
3 | Teddy | 23 | Norway     | 45000 | 1457570120 | 1457570300

次の SQL クエリは、Paul の年齢と給料をメトリクス値として、Paul の名前と住所をタグとして取得します。

SELECT age,salary,name,address FROM company WHERE name = 'Paul'

対応する YAML custom_queries の構成

custom_queries:
  - query: SELECT age,salary,name,address FROM company WHERE name = 'Paul'
    columns:
      - name: employee_age
        type: gauge
      - name: employee_salary
        type: gauge
      - name: name
        type: tag
      - name: localisation
        type: tag
    tags:
      - 'query:custom'

SQL Server YAML ファイルを更新した後、Datadog Agent を再起動します。

検証

結果を確認するには、メトリクスエクスプローラーを使用してメトリクスを検索します。

デバッグ作業

Agent の status サブコマンドを実行し、Checks セクションの sqlserver を探します。

sqlserver
--------
  - instance #0 [ERROR]: 'Missing query parameter in custom_queries'
  - Collected 0 metrics, 0 events & 0 service checks

また、Agent のログでも有益な情報を確認できる場合があります。

パフォーマンスカウンターからメトリクスを収集する

デフォルトでは、Datadog-SQL Server チェックは、sys.dm_os_performance_counters テーブルで利用可能なメトリクスの一部のみをキャプチャします。

パフォーマンスカウンターからの基本的なメトリクス収集の例を以下に示します。: オプションで、メトリクスとともに送信される tags を指定できます。

custom_metrics:
  - name: sqlserver.clr.execution
    counter_name: CLR Execution
    tags:
      - tag_name:value

パラメーターの説明:

パラメーター説明
nameDatadog 内のメトリクスの名前。
counter_nameSQL Server データベースオブジェクトのカウンター名。
tagsキー:値のペアで構成されたタグのリスト。

カウンターに複数のインスタンスが関連付けられている場合、instance_name パラメーター名を使用して単一のインスタンスを取得することを選択できます。

custom_metrics:
  - name: sqlserver.exec.in_progress
    counter_name: OLEDB calls
    instance_name: Cumulative execution time (ms) per second

粒度をより細かくするために、object_name でクエリします。

custom_metrics:
- name: sqlserver.cache.hit_ratio
  counter_name: Cache Hit Ratio
  instance_name: SQL Plans
  object_name: SQLServer:Plan Cache

複数のインスタンスを持つカウンターのすべてのインスタンスを収集するには、 instance_name パラメーターに特別な値 ALL (大文字小文字が区別されます) を使用します。このパラメーターは tag_by パラメーターの値を必要とします。この例では、db:mydb1db:mydb2 とタグ付けされたメトリクスを取得します。

custom_metrics:
  - name: sqlserver.db.commit_table_entries
    counter_name: Commit table entries
    instance_name: ALL
    tag_by: db

カウンターが取得されるデフォルトのテーブルは、sys.dm_os_performance_counters テーブルです。Datadog-SQL Server チェックは、sys.dm_os_wait_statssys.dm_os_memory_clerkssys.dm_io_virtual_file_stats もサポートしています。

追加のテーブルの 1 つから取得されたメトリクスをレポートするには、table パラメーターでカウンター定義のテーブルを指定し、columns パラメーターでレポートするカウンター列を指定します。

custom_metrics:
  - name: sqlserver.LCK_M_S
    table: sys.dm_os_wait_stats
    counter_name: LCK_M_S
    columns:
      - max_wait_time_ms
      - signal_wait_time_ms

上記の例では、2 つのメトリクス sqlserver.LCK_M_S.max_wait_time.mssqlserver.LCK_M_S.signal_wait_time_ms をレポートします。

: sys.dm_io_virtual_file_statssys.dm_os_memory_clerks などのメトリクスが counter_name に関連付けられていない場合、列のみを指定する必要があります。

custom_metrics:
  - name: sqlserver.io_file_stats
    table: sys.dm_io_virtual_file_stats
    columns:
      - num_of_reads
      - num_of_writes

上記の例は、それぞれデータベース ID とファイル ID でタグ付けされた 2 つのメトリクス、sqlserver.io_file_stats.num_of_readssqlserver.io_file_stats.num_of_writes をレポートします。

カスタムプロシージャからメトリクスを収集する (レガシー)

データベースからカスタムメトリクスを収集するための旧来の方法です。設定手順がよりシンプルで、実行可能な T-SQL の種類に関しても柔軟性が高く、デバックも容易な custom_queries パラメーターの使用をお勧めします。カスタムプロシージャからメトリクスを収集すると大量のカスタムメトリクスが生成され、請求に影響する可能性があります。

ストアドプロシージャのセットアップ

Datadog にレポートするためのカスタムメトリクスを収集するには、一時テーブルを設定する必要があります。テーブルには次の列が必要です。

説明
metricDatadog に表示されるメトリクスの名前。
typeメトリクスタイプ(ゲージ、レート、またはヒストグラム)。
valueメトリクスの値(浮動小数点数に変換可能である必要があります)。
tagsカンマで区切られた Datadog に表示されるタグ。

次のストアドプロシージャがマスターデータベース内に作成されます。

-- <PROCEDURE_NAME> という名前のストアドプロシージャを作成します
CREATE PROCEDURE [dbo].[<PROCEDURE_NAME>]
AS
BEGIN

  -- 一時テーブルを作成します
  CREATE TABLE #DataDog
  (
    [metric] varchar(255) not null,
    [type] varchar(50) not null,
    [value] float not null,
    [tags] varchar(255)
  )

  -- 結果セットから行カウントを削除します
  SET NOCOUNT ON;

  -- 変数 count を作成し、User Connections の数に設定します
  DECLARE @count float;
  SET @count = (select cntr_value from sys.dm_os_performance_counters where counter_name = 'User Connections');

  -- テーブル #Datadog にカスタムメトリクスを挿入します
  INSERT INTO #Datadog (metric, type, value, tags)
  VALUES ('sql.test.test', 'gauge', @count, 'db:master,env:staging')
        ,('sql.test.gauge', 'gauge', FLOOR(RAND()*20), 'tag:test')
        ,('sql.test.rate', 'rate', FLOOR(RAND()*20), 'metric:gauge')
        ,('sql.test.histogram', 'histogram', FLOOR(RAND()*20), 'metric:histogram')
  SELECT * from #DataDog
END
GO

-- ストアドプロシージャを実行する権限を付与します
GRANT EXECUTE ON [dbo].[<PROCEDURE_NAME>] To Public
GO

ストアドプロシージャは、次のカスタムメトリクスを出力します。

  • sql.test.test
  • sql.test.gauge
  • sql.test.rate
  • sql.test.histogram.95percentile
  • sql.test.histogram.avg
  • sql.test.histogram.count
  • sql.test.histogram.max
  • sql.test.histogram.median

SQL Server インテグレーション構成を更新する

カスタムプロシージャからメトリクスを収集するには、実行するプロシージャを含む sqlserver.d/conf.yaml ファイル内に新しいインスタンス定義を作成します。既存の構成には個別のインスタンスが必要です。ストアドプロシージャを持つインスタンスは、ストアドプロシージャ以外は処理しません。例:

  - host: 127.0.0.1,1433
    username: datadog
    password: "<パスワード>"
    database: master
  - host: 127.0.0.1,1433
    username: datadog
    password: "<パスワード>"
    stored_procedure: "<プロシージャ名>"
    database: master

以下を指定することもできます。

パラメーター説明デフォルト
ignore_missing_database指定された DB がサーバーに存在しない場合は、チェックを実行しません。False
proc_only_ifstored_procedure の各呼び出しの前にこの SQL を実行します。1 を返した場合、プロシージャを呼び出します。
proc_only_if_databaseproc_only_if SQL を実行するデータベース。データベース属性

: proc_only_if ガード条件は、データベースがサーバー間を移動できる高可用性シナリオに役立ちます。

トラブルシューティング

カスタムメトリクスが Datadog に表示されない場合は、Agent ログファイルを確認してください。Could not call procedure <PROCEDURE_NAME>: You must supply -1 parameters for this stored procedure というエラーが表示される場合は、次のいずれかの問題である可能性があります。

  • <プロシージャ名> が正しく入力されていない。
  • 構成で指定されたデータベースユーザー名に、ストアドプロシージャを実行する権限がない可能性がある。

その他の参考資料

お役に立つドキュメント、リンクや記事: